【ざっくばらん映画レビュー】『ラスト・サバイバー(The Dog Stars)』評判は辛口?でも個人的にはかなり好きだった。生きる意味を考えさせられる作品

映画

🎬 今回レビューする映画は『ラスト・サバイバー(The Dog Stars)』!

※注意。この記事にはネタバレを含みます。

先に結論から言うと……

評判悪いって聞いてたけど、普通にかなり良かったです笑

もちろん、人によって評価が分かれる理由もわかる作品。

特にこの映画は原作小説が存在していて、映画版とはかなり違うらしいので、原作ファンの人からすると受け取り方が大きく変わる可能性があります。

私自身は原作をまだ読んでいないので、今回は基本的に映画単体としての感想になります!

ざっくり評価

ストーリー:★★★★☆
世界観:★★★★★
映像:★★★★★
キャラクター:★★★★★
伏線回収:★★★★★
後味:★★★★☆

『ラスト・サバイバー』はどんな映画?

舞台は感染症によって人類社会が崩壊した世界。

いわゆるディストピア作品ですね。

ただ、この映画で印象的だったのは、

荒廃しているのは人間社会であって、世界そのものではない

というところ。

街には人がいない。

文明は崩壊している。

人々は互いを信用できない。

でも自然はめちゃくちゃ綺麗。

そして、その美しい世界を小型航空機のセスナで飛ぶシーンが本当に印象的でした✈️

荒廃した世界なのに、空から見る景色は美しい。

この対比がかなり好き。

主な登場人物

ヒッグ

本作の主人公。

元パイロットで、パンデミック後の世界を愛犬ジャスパーとともに生きています。

基本的には優しい性格。

誰かをすぐ敵と決めつけず、

「本当に殺さなければいけないのか?」

と葛藤するタイプ。

でも、この世界ではその優しさが時に危険にもなります。

🐕 ジャスパー

ヒッグの愛犬。

犬です。めちゃくちゃ大事な相棒です。

ヒッグと常に行動を共にしていて、孤独な世界の中でヒッグを支える存在。

この映画において、かなり重要なキャラクターです。

バングリー

ヒッグと山中の基地「エリー」で暮らす元軍人。

頑固。

めちゃくちゃ頑固。

でも、それが良い笑

ヒッグとは真逆の考え方を持っています。

  • 他人を信用しない
  • やられる前にやる
  • 理想郷なんて存在しない
  • 今ある場所を守る

という超現実主義者。

一見すると冷酷なんだけど、この世界で生き残るにはバングリーの考え方も必要なんですよね。

シーマ

別の山中の農園で暮らす女性。

夫を亡くしています。

ヒッグと出会い、徐々に距離を縮めていきます。

この作品の中で、ヒッグが新しい人生へ進むきっかけになる重要な存在。

ジャック

シーマのお父さん。

また頑固なジジイです笑

しかもバングリーと雰囲気が似ている。

白髪で、ちょっとロン毛で、山奥で暮らしている。

途中までマジで紛らわしい笑

でもバングリーよりは若干話が通じます。

若干ね。

ヒッグとバングリー。真逆の2人

この映画で特に面白かったのが、

ヒッグとバングリーの生き方の違い

ヒッグは、

助け合いたい
全員が敵とは限らない
命を奪う前に考えたい

というタイプ。

一方バングリーは、

敵かもしれないなら先にやれ
他人を信用するな
甘さは死につながる

というタイプ。

どちらが正しいのか?

この映画は、単純に答えを出していません。

そして、この考え方の違いが悲劇につながります。

◯◯の死

ある夜、ヒッグは侵入者が本当に敵なのか判断するのが遅れます。

普段ならバングリーが即座に対処している。

しかし、その夜は違った。

襲撃を受け、ヒッグとジャスパーは応戦。

そこで、

ジャスパーが敵の矢を受けてしまう。

怒り狂うヒッグ。

敵を撃ち倒す。

しかし数で圧倒される。

そこにバングリーが現れて敵を全滅させます。

助かった。

……と思ったけど、

ジャスパーは助からなかった。

ヒッグにとって、妻を失った後もずっと一緒だった大切な相棒。

そのジャスパーを失ったことで、ヒッグは大きく変わっていきます。

理想郷「グランドジャンクション」へ

ヒッグは以前、無線で女性の声を聞いていました。

その女性がいる場所。

グランドジャンクション。

ヒッグにとっては、最後の希望。

しかしバングリーは否定します。

理想郷なんて存在しない。

燃料も足りない。

辿り着ける保証もない。

仮に到着しても、そこが本当に安全とは限らない。

それでもヒッグは行く。

「なければ、その先に行く」

このヒッグの決意が好きでした。

バングリーとの別れ

出発前。

バングリーはヒッグに手榴弾のようなものを渡します。

何かあったら使え。

そして、

向こうでもうまくやれ。

考え方は違う。

衝突もした。

ジャスパーの件ではヒッグに殴られた。

それでも、お互いに信頼がある。

ヒッグも冷蔵庫の使い方や機械の修理方法などをメモに残している。

なんだかんだ、お互いを尊敬しているんですよね。

こういう関係性がかなり良かった。

そしてヒッグはセスナに乗り込みます。

いつも助手席にいたジャスパーはもういない。

この空席が切ない……🐕

不時着!そしてバッファロー!

順調に飛んでいたヒッグですが、セスナにトラブルが発生。

油圧か燃料関係か。

このままでは危険。

そこで不時着を決意。

下は山。

いや、どこに着陸するんだよ笑

なんとか強引に着陸成功!

……したと思ったら、

今度は大量のバッファローが突進してくる。

ヒッグ、災難すぎる😂

なんとか機体の下に隠れてやり過ごします。

そして最後尾にいたロバを発見。

後を追っていくと……

農園を発見!

シーマとジャックとの出会い

農園には女性がいました。

ヒッグが接触を試みると、

後ろから銃を突きつけられます。

またジジイです笑

その人物がジャック。

シーマのお父さん。

シーマは友好的ですが、ジャックは超警戒。

セスナが壊れているので修理するまで滞在させてほしいと頼むヒッグ。

ジャックは渋々了承。

でも、

ずっとライフルでヒッグを狙ってます笑

信用してないにもほどがある。

しかしヒッグを観察しているうちに、危険な人間ではないと判断。

徐々に態度が変わっていきます。

そして最終的には、

セスナの修理を手伝ってくれる。

この辺り、ジャックも娘シーマの未来を考えていたんだろうなと思いました。

シーマの告白

修理も終わり、出発できる状態。

嵐が来るため、その夜は農園に泊まることになります。

夜。

シーマがヒッグのところへやってきます。

一緒に寝ても良いかと聞く。

そしてシーマは、

この農園で一緒に暮らさないか

と伝える。

もうこれは告白でいいよね?笑

シーマはヒッグと一緒にいたい。

でもヒッグの頭の中には、グランドジャンクションしかない。

ヒッグは謝ります。

シーマは落胆。

怒る。

泣く。

そりゃそうよ。告白して振られたんだから😂

この時点では、ヒッグはまだ妻との過去を完全に断ち切れていません。

バングリーVS暴走集団

一方その頃。

エリーでは、バングリーが1人で生活していました。

夜。

突然聞こえる荒々しい物音。

バングリー。

「とうとう来たな、奴らが」

最初はいつもの侵入者かと思いきや……

めちゃくちゃ大量にいる。

100人くらいに見える軍勢。

白塗り。

刺青。

明らかにヤバい。

バングリーでも、

これは勝てないだろ……

というレベル。

それでも冷静なバングリー。

最初はナイフで1人ずつ始末。

しかし途中でバレる。

そこから、

大多数VSバングリー1人

ライフルで応戦。

高台に登る。

それでも敵は無限に来る。

そして火が回り……

爆発。

バングリーは巻き込まれます。

そしてヒッグ達の拠点にも奴らが!

同じような暴走集団が、ジャックとシーマの農園にもやってきます。

ここで個人的にかなり鳥肌が立ったシーン。

普通なら、

逃げる一択。

でも逃げる場所は……

空!!✈️

ヒッグはパイロット。

セスナがある。

ジャックとシーマが援護。

ヒッグが操縦。

3人で協力して離陸を目指します。

敵がセスナに飛び乗ってくる。

ジャックとシーマが対応。

そして離陸直前。

目の前の敵を……

セスナのプロペラで吹き飛ばして離陸!!

流石に空までは追ってこれない!

このシーンは、

ヒッグがパイロットだから助かった。

でも、

ジャックとシーマがいなければ離陸できなかった。

3人全員が必要だった。

そしてシーマの、

ヒッグと一緒にいたい

という想いも、結果的に別の形で叶った。

この3人の出会いは運命だったんじゃないかと思えるシーンでした。

ついにグランドジャンクションへ!

空を飛ぶ3人。

目的地はもちろん、

グランドジャンクション!

無線から女性の声が聞こえる。

声の主はダーリーン。

しかし、簡単には着陸を許可してくれません。

過去に外部の人間が問題を起こしたらしい。

そこでジャックが無線を代わります。

昔のグランドジャンクションの思い出を話す。

ダーリーンは、

本当に昔の街を知っている人物がいる

と安心。

着陸許可!

そして登場する……

めちゃくちゃ綺麗な近代的滑走路!!

今までなんちゃって滑走路だったので、これはテンション上がる😂

ジャックも、

「来る航空機を間違えたな」

みたいなことを言う。

笑いました。

理想郷……ではなかった

グランドジャンクションの内部は豪華。

近未来的。

煌びやか。

バーもある。

人々が踊っている。

マジで理想郷に見える。

しかし違和感。

ダーリーンは3人の職業を聞きます。

シーマは元研修医。

すると、

医者は必要な人材だから軍人と結婚させる

というような話に。

さらに男2人は必要ないというニュアンス。

あ、これヤバいやつだ。

ヒッグも察する。

そして、

タバコを吸うと言ってライターを借りる。

酒に火をつける。

蹴り上げる!!

軍人達にぶつける!!

その隙に武器を奪う!

逃げる!!

セスナまで辿り着く!

離陸!!

ここでバングリーの手榴弾!!

そう。

覚えてますか?

出発前にバングリーが渡した、

何かあったら使え

と言っていたあれ。

手榴弾です!!笑

上空から投下。

グランドジャンクションを爆破。

伏線回収が気持ちいい!!

この映画、本当にこういうところが丁寧。

エリーへ

向かう先はもちろん、

エリー。

ヒッグはバングリーに会えることを楽しみにしています。

無線で、

こちらセスナ……

と通信。

しかし応答がない。

バングリーならいつものこと。

でも着陸しても返事がない。

不安になるヒッグ。

そして周囲を見る。

倒れている敵。

燃えている建物。

嫌な予感。

ヒッグは理解します。

バングリーが襲撃された。

そして、

自分が希望を求めて去ったこと。

バングリーの忠告を聞かなかったこと。

グランドジャンクションにも理想郷なんてなかったこと。

バングリーの言った通りだった。

ジャスパーに続いて、また大切な存在を失った。

ヒッグは落胆します。

……と思ったら音楽が聞こえる

奥の小屋から聞こえる音楽。

そういえばこの映画、

音楽

も印象的に使われていました。

ヒッグがシーマに音楽を聞かせるシーンもあった。

そして音楽に合わせて……

踊りながら……

コーヒーを持って……

現れたのは……

包帯だらけのバングリー!!!!

生きてたんかーーーい!!😂😂😂

主人公補正が強すぎる笑

でもこれは、

生きてて良かった!!

と思った人、多いんじゃないかな。

普段のバングリーなら、こんな歓迎は絶対しない。

襲撃を経験して、彼自身にも何か心境の変化があったんでしょうね。

生きるための答えは、最初からあった

エリーは襲撃によってボロボロ。

そこで4人は、ヒッグが以前から支援物資を届けていたナノメイトの集落へ向かいます。

実はこの集落。

映画の初期から登場しています。

そして、

最初にヒッグが答えに出会っていた場所だったんじゃないか

と思いました。

ナノメイトの人々は、この世界の中でも以前と変わらない人間らしさを持っている。

助け合う。

笑う。

踊る。

音楽を楽しむ。

そして……

しれっと混ざって踊るバングリー笑

あのバングリーがですよ😂

以前なら絶対にあり得ない。

でも、これが良い。

最後。ジャスパー座

ヒッグは再び街へ行きます。

亡き妻に別れを告げる。

そして夜。

シーマと星空を見上げます。

ヒッグが星を指差して言う。

「あれはジャスパー座だ」

ここでわかる。

ヒッグは妻やジャスパーを忘れたわけじゃない。

忘れる必要もない。

でも、

過去に縛られて生きるのではなく、記憶とともに新しい人生を生きていく。

これがヒッグの出した答えだったんだと思います。

そして最後が、

犬の星。

原題、

『The Dog Stars』

にも繋がる。

めちゃくちゃ綺麗な終わり方でした。

『ラスト・サバイバー』が評価されにくい理由?

個人的には、この映画が辛口評価になる理由もわかります。

それは、

あえて描かれていない部分が多いから。

例えば、

  • バングリーはどうやって生き残った?
  • 物資はどこから補充されている?
  • 暴走集団は何者?
  • なぜあそこまで巨大な集団になった?
  • 世界全体はどうなっている?

こういう部分は、詳しく説明されません。

だから、

そこ説明してよ!

と思う人もいるはず。

でも僕は逆に、

全部説明しないことでチグハグにならないようにしている

ように感じました。

描かないところは描かない。

でも描くところはしっかり描く。

特に、

キャラクターの成長

人との繋がり

伏線の回収

ここはかなり丁寧でした。

原作を読んでから観る人は注意?

この映画には原作があります。

そして、調べた限りでは映画と原作にはかなり違いがあるようです。

原作は、

スロー
辛い
悲しい
儚い
でも美しい

という印象を持つ人が多いよう。

一方映画版は、

辛いこともある
でも前に進む
成長する
答えを見つける
新しい幸せへ進む

という印象。

同じ物語でも、かなり違う作品になっているのかもしれません。

だから原作を先に読んで、

「この通りの映画になるはず!」

と思って観ると、評価が大きく変わる可能性はありそうです。

逆に僕のように映画単体として観るなら、かなり楽しめました。

最後に

『ラスト・サバイバー』は、

単純な感染者パニック映画ではありません。

というか、

感染者ほぼ出ません笑

むしろ描かれているのは、

人は何のために生きるのか?

というテーマ。

家族のため?

子供のため?

恋人のため?

夢のため?

目標のため?

では……

それらを失ったら?

ヒッグは妻を失った。

ジャスパーを失った。

バングリーまで失ったと思った。

理想郷だと思った場所にも裏切られた。

それでも、

人生は終わらなかった。

新しい人と出会う。

新しい場所へ行く。

新しい思い出を作る。

過去を忘れるのではなく、

過去と共に、新しい人生を生きる。

この映画が最後に伝えたかったことは、そこなんじゃないかなと思いました。

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